金融庁森信親長官の「顧客本位」という方針を支持。日本の投資信託はおかしい!

金融庁

運用・販売会社のためにある投資信託

証券や投信業界の関係者であれば「顧客本位の業務運営に関する原則」という言葉を聞いたことがない人はいません。

金融庁が投信運用会社などに求めている指針で、具体的には

  • 顧客の利益を第一にした業務運営
  • 初心者を対象にした金融教育の充実
  • 長期の積み立て分散投資の促進
  • 低コストの金融商品の充実
  • 証券と運用会社間の系列依存の脱却

というもので、ざっくり一言で表すと「自分達の収益を第一に考えるのではなく、顧客にとって低コストで分かりやすい投資信託を販売しなさい」ということです。

これは当たり前のことではありますが、必ずしも証券・投信会社では当たり前ではなかったのです。

例えば毎月分配型の投資信託。

一見すると毎月分配金を受け取ることができる利回りの高い商品に思えますが、分配金の源泉は利益ではなく元本の取り崩しによるもの。

毎月分配されても元本を崩しているために複利効果を得られず、基準価額が下がりトータルでは損している人が多い商品です。

対面証券会社は、この毎月分配型商品の(分配金が毎月銀行口座に振り込まれるという)プラスの側面のみを説明し顧客に購入してもらい、時には短期で売買させて手数料収入を得ているのです。

金融リテラシー低い年金世代の方ほど、商品の実情を分かっておらずに購入しているのが現状です。

日本の家計の金融資産1,800兆円のうち投信が占める割合は僅か5%。

上記のような事が蔓延っている訳ですから、健全な市場とは言えず投資が諸外国に比べて普及しないのです。

金融庁森信親長官「日本の資産運用業界への期待」

森長官が4月に日本証券アナリスト協会の講演で語ったことを読み解くと、金融庁の方針がよく見えてきます。(全文はこちら

主なポイントは以下の通りです。

1.日本の投信は5406本あるが、つみたてNISAの対象は僅か50本弱でした

つみたててNISAの対象となる投信はノーロードで信託報酬も一定以下、信託期間が20年以上、純資産額が50億円以上などの要件があります。

なお、アメリカでは残高上位10本の投信のうち8本はこの基準を満たしているとの事。

いかに日本では顧客本位の投信が販売されていないかということがよく分かります。

2.日本の投信運用会社の多くは販売会社等の系列会社

これは投資信託を組成する運用会社が販売する証券会社の系列会社であり、販売会社のための投信を作っていると批判したものです。

つまり顧客のための投信ではなく、販売会社が儲かるための投信であるということ。

例えば野村證券は野村アセットマネジメントが組成・運用する投信を主として顧客に売っています。

3.販売手数料、信託報酬などのコストをお客様に理解してもらう

販売手数料は買付代金の◯%などと分かりやすいものの、信託報酬は日々の基準価額から引かれるため、顧客は自分が負担しているコストを把握していません。

森長官はこうした事を防ぐため、一案として「10万円を投資した場合の実額を示す」とあげていますが、まさにこの通りだと思います。

Web上で金額入れると1年間の信託報酬が表示されるなど、手数料・信託報酬の見える化は必要です。

以上、森長官の講演から主なポイントを上げましたが、よくよく考えてみると当たり前のことばかり。

投信を販売している証券会社の証券マンも自分のお金で自社の商品を買おうと思っている人はいないはずです。

投信を買うなら、個別株やETF、FXとなるはずです。

投信業界の幹部からするとウザイ長官だなと思うかもしれませんが、金融庁の取り組みがどのように業界を変えるか今後も注目したいと思います。