ラグビー日本代表が挑んだ第8回ラグビーワールドカップ。
それまでのワールドカップで1勝21敗とボロ負け続きの日本代表は、初戦で優勝候補南アフリカを倒すという「ラグビー史上最大の番狂わせ」を演じ、世界に感動と衝撃を与えました。
そんな勇敢な桜の戦士達が戦ったワールドカップをまとめました。
ラグビー日本代表W杯メンバーの所属チーム、国籍、身長など
名前 | ポジション | 所属チーム | 国籍 | 身長 | 体重 | 年齢 | キャップ |
アイブス ジャスティン | FL | キヤノン | 日本(NZ出身) | 196 | 105 | 31 | 30 |
伊藤 鐘史 | LO | 神戸製鋼 | 日本 | 191 | 100 | 34 | 35 |
稲垣 啓太 | PR | パナソニック | 日本 | 183 | 115 | 25 | 6 |
大野 均 | LO | 東芝 | 日本 | 192 | 106 | 37 | 92 |
木津 武士 | HO | 神戸製鋼 | 日本 | 183 | 114 | 27 | 35 |
ツイ ヘンドリック | NO8/FL | サントリー | 日本(NZ出身) | 189 | 107 | 27 | 30 |
トンプソン ルーク | LO | 近鉄 | 日本(NZ出身) | 196 | 108 | 34 | 57 |
畠山 健介 | PR | サントリー | 日本 | 178 | 115 | 30 | 66 |
マイケル・ブロードハースト | FL | リコー | NZ | 196 | 111 | 28 | 20 |
ホラニ 龍コリニアシ | NO8 | パナソニック | 日本(トンガ出身) | 188 | 112 | 33 | 41 |
堀江 翔太 | HO | パナソニック | 日本 | 180 | 105 | 29 | 36 |
真壁 伸弥 | LO | サントリー | 日本 | 192 | 118 | 28 | 29 |
アマナキ・レレイ・マフィ | NO8 | NTTコミュ | トンガ | 189 | 112 | 25 | 2 |
三上 正貴 | PR | 東芝 | 日本 | 178 | 115 | 27 | 27 |
山下 裕史 | PR | 神戸製鋼 | 日本 | 183 | 122 | 29 | 43 |
湯原 祐希 | HO | 東芝 | 日本 | 173 | 102 | 31 | 22 |
リーチ マイケル | FL | 東芝 | 日本(NZ出身) | 190 | 105 | 26 | 41 |
クレイグ・ウィング | CTB/SO | 神戸製鋼 | フィリピン | 180 | 90 | 35 | 8 |
小野 晃征 | SO | サントリー | 日本 | 171 | 83 | 28 | 27 |
五郎丸 歩 | FB | ヤマハ発動機 | 日本 | 185 | 99 | 29 | 52 |
マレ・サウ | CTB | ヤマハ発動機 | NZ | 183 | 97 | 27 | 21 |
立川 理道 | SO/CTB | クボタ | 日本 | 181 | 94 | 25 | 37 |
田中 史朗 | SH | パナソニック | 日本 | 166 | 71 | 30 | 47 |
田村 優 | CTB | NEC | 日本 | 181 | 92 | 26 | 33 |
廣瀬 俊朗 | SO | 東芝 | 日本 | 173 | 82 | 33 | 28 |
日和佐 篤 | SH | サントリー | 日本 | 166 | 72 | 28 | 45 |
福岡 堅樹 | WTB | 筑波大学 | 日本 | 175 | 83 | 23 | 15 |
藤田 慶和 | WTB/FB | 早稲田大学 | 日本 | 184 | 90 | 22 | 27 |
カーン・ヘスケス | WTB/CTB | 宗像サニックス | NZ | 178 | 98 | 30 | 9 |
松島 幸太朗 | WTB/CTB | サントリー | 日本 | 175 | 88 | 22 | 10 |
山田 章仁 | WTB | パナソニック | 日本 | 181 | 90 | 30 | 13 |
今回のラグビーワールドカップに出場するために登録された日本代表の31名の選手です。
31人のうち試合毎に15人の先発メンバーと8人のリザーブメンバーの計23名が登録されます。残りの8人はスタンドからの観戦となります。
選手は全員日本の社会人ラグビーリーグである「トップリーグ」に所属している選手です。
ラグビーの場合、所定の条件を満たせば外国籍でも他国の代表の選手になることができ、日本の場合、31人のうち外国出身の選手は10人。各国の代表選手になる条件と詳細についてはこちらをご参照ください。
なおトップリーグは11月から開催されるので、桜の戦士達を生で見たい場合はトップリーグのHPより確認のうえ観戦してみてください。迫力があって興奮しますよ!
ラグビー日本代表ワールドカップでの試合結果
日本は南アフリカ、スコットランド、サモア、アメリカと同じ予選グループのプールBに属し、総当たりで上位2チームが決勝トーナメントに進出することができます。
初戦の南アフリカ戦で34-32の大金星を挙げる!
ご存知の通り、初戦の相手は南アフリカ。過去優勝2回、今回も優勝候補で強くて大きく、スピードがあり日本の勝利を予想する人はほぼ皆無の中、日本が4年間のハードワークの結果を発揮し最後の大逆転で勝利をもぎ取りました。
この試合で勝ち点4を取り目標のベスト8達成へ最高の立ち上がりとなりました。南ア戦の詳細は以下をご参照。
・日本代表が南アフリカに歴史的大勝利!最後に大逆転!!
・ラグビー日本代表が南アに勝ったことが、どれだけ凄いか分かりやすく解説&まとめてみた!
2戦目のスコットランド戦は10-45と完敗
南アフリカに勝ったんだからスコットランドにも勝てるでしょと思った人も多い中、世界は甘くはありませんでした。
日本は南ア戦から中3のハードスケジュール、一方スコットランドはW杯初戦で体調バッチリでした。試合は前半はなんとかスコットランドに肉薄したものの、後半に疲れからミスがでて完敗。
この時点で決勝リーグへの突破はほぼ南ア、スコットランド、日本の3チームの争いとなりました。
3戦目のサモア戦は26-5で完勝!
十分に休養を取ったサモア戦では日本の攻守が勝りサモアを1トライに抑える完勝。
日本が南アに勝ったことがまぐれではないことを世界に証明しました。サモアは体が大きく、身体能力が優れた選手が多く、日本はこれまでなかなか勝てなかった相手。そのサモア相手に素晴らし試合をしたことで日本は大きな自信を得ることができました。
最後のアメリカ戦も28-18で勝利し有終の美を飾る!
最後は日本の長年のライバルであるアメリカ戦。この試合の前に日本の予選突破が断たれ、モチベーション的に難しい試合となったものの、桜の戦士達は最後まで集中力を落とすことなく激しいタックルで相手を防ぎ、速く強いランでトライを重ね勝利しました。
終わってみれば3勝1敗で世界中のラグビーファンの予想を覆す素晴らしい戦いぶりでした。残念ながら「最強の敗者」となり予選突破はならなかったものの、世界各国で日本の勝利がニュースやネットで取り上げられるなど、日本ラグビーここにあり!を世界に強く印象づけました。
プールBは3チームが3勝1敗で並んだものの、地力に勝る南アフリカが1位通過、2位は日本に勝利したスコットランドとなりました。
ラグビーワールドカップ 予選プールB順位表
順位 | 国名 | 試合数 | 勝ち | 引分 | 負け | 得点 | 失点 | 得失点差 | BP | 勝点 |
1 | 南アフリカ | 4 | 3 | 0 | 1 | 176 | 56 | 120 | 4 | 16 |
2 | スコットランド | 4 | 3 | 0 | 1 | 136 | 93 | 43 | 2 | 14 |
3 | 日本 | 4 | 3 | 0 | 1 | 98 | 100 | -2 | 0 | 12 |
4 | サモア | 4 | 1 | 0 | 3 | 69 | 124 | -55 | 2 | 6 |
5 | アメリカ | 4 | 0 | 0 | 4 | 50 | 1156 | -106 | 0 | 0 |
日本がワールドカップで大躍進した理由は?
これまでラグビーファンには辛く悲しい負の歴史が続いたワールドカップ。
毎回毎回最強と言われながらも日本は惨敗してきました。今回もワールドカップ前の試合ではアメリカやフィジーに負けるなど、決して万全だとは思えなかったものの、W杯本番では3勝1敗と素晴らしい成績を残すことができました。その理由は主に以下にあると考えます。
1.エディー・ジョーンズHCの強烈なリーダーシップと指導体制の確立
エディー・ジョーンズは完璧主義者と言われるほど厳しく一切の妥協を許さない指揮官で、その練習は世界で一番ハードと言われる内容でした。
その指揮官の方針に反発することなく、選手も指揮官を信じ、厳しい練習に耐えたことでフィットネスが大幅に上昇し戦える集団となりました。
またエディーがこれまで豪や南アでの指導経験から得た豊富な人脈を活用し、FW、BKコーチのほかフィットネスコーチ等も世界中から優秀な人を集め、セットプレーに安定感が増し、戦術が増えたのも大きな要因です。
2.世界最高峰のリーグ「スーパーリーグ」経験者がチームを引っ張った
NZ、豪、南アのラグビープロリーグである「スーパーリーグ」に日本からは主将のリーチ・マイケル、HO堀江、SH田中、 FLツイ等が参加し、試合に出場することで世界最高峰のチームで得た経験を日本代表に還元することができました。
実際彼らはチームの中心選手としてプレーだけでなく精神的な支柱となり、代表を引っ張ってきました。
3.2019年ラグビーW杯日本開催に向け「歴史を変える」ために一つになった
「歴史を変える」。それがエディーJAPANのスローガンであり、選手のベクトルを同じ方向に向かせた合言葉になりました。歴史を変えるためにはベスト8を達成する。
そのためには厳しい練習にも耐え、怖がらずに低いタックルで相手を倒し、最後まで走り切らなければなりません。どんな辛い時もこの言葉で選手達は頑張れたんだと思います。
さらに、2019年にラグビーW杯が日本で開催されると決まった事も大きかった。選手はこれまでのW杯での惨敗続きの成績では開催国としては相応しくなく、その力を証明する最後の機会が今回のW杯で、次回のW杯開催国としてのプライドを賭けた戦いでもありました。
ラグビー日本代表の戦いは人生観が変わるほど素晴らしかった!
私も小さい頃から野球とラグビーをやっていた事もあって、スポーツが大好きで見る事も多いですが、今回のラグビー日本代表の戦いぶりはスポーツという枠を超えて、人生観が変わるような大きなものでした。
特に、まさか勝てるとは思っていなかった南アフリカでのあの勝利。そしてその勝利に結びついた日本が今回のW杯のために行ってきた日々のハードワーク、エディーHCとリーチマイケルが証明したリーダーとしての資質の大切さ、モチベーションが下がった中でもしっかり戦い抜いたアメリカ戦。
今回のラグビー日本代表の戦いぶりは映画になってもおかしくないほど、人間味に溢れた選手とスタッフ達により作られた壮大な物語のようでした。
勇気と感動という言葉だけでは表す事ができない大きな何かを選手から学び、感じることができました。ラグビー日本代表の関係者の皆さまには心からの感謝を言いたいと思います。そしてこれからも全力で応援していきます!