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【書評】諦める力〜勝てないのは努力が足りないからじゃない〜為末大

      2015/08/26

為末大

元陸上選手で400mハードル日本記録保持者為末大さんの著書。為末さんは以前からブログやtwitterを通じて社会に向けての提言や意見を発信されていて、自分も同じ意見を持つことが多いことから注目していました。

アスリートで一線級の人が現役を引退すると指導者やキャスターの道へ進むケースが多いものの、為末さんの場合は陸上関連の仕事も行いつつ、書籍の執筆、会社の経営などに携わっており様々なことにその多彩な力を発揮されています。

今日はそんな為末さんの代表的な著書「諦める力」についてレビューしたいと思います。


「諦める力」レビュー

「諦める」は実はポジティブな言葉

「諦める」という言葉の語源は「明らめる」だという。仏教では、真理や道理を明らかにしてよく見極めるという意味で使われ、むしろポジティブなイメージを持つ言葉だというのだ。

「諦める」という言葉はネガティブな印象しかなく、昔から「諦めるな!」と言われ続けていたので、語源の「見極めた」うえで断念するのであれば、それはポジティブな判断ということになります。

自分の能力や今の状況を冷静に理解し、自分自身を正しく知ることで時には諦めることも必要ですね。

 

自分を理解し、正しく努力する

世の中には、自分の努力次第で手の届く範囲がある。その一方で、どんなに努力しても及ばない、手の届かない範囲がある。努力することで進める方向というのは、自分の能力に見合った方向なのだ。

自分も小さい頃はプロ野球選手を夢見る少年だったので、よくわかります。小学校時代は絶対プロの選手になれると思っていたものの、中学になると体がでかく投げては豪速球、打っては場外HRのような選手が出てきて、これは勝てないなと思いました。

夢を追いかけるのもいいですが、残念ながら夢を叶えることができるのはごく一部の人だけ。諦めるという勇気も時には必要です。

 

人は年をとるごとに可能性が狭まっていく

人間は物心ついたときにはすでに剪定がある程度終わっていて、自分の意思で自分が何に特化するかを選ぶことができない。いざ人生を選ぼうというときには、ある程度枠組みが決まっている。本当は生まれたときから無限の可能性なんてないわけだが、年を重ねると可能性が狭まっていくことをいやでも実感する。

努力が大事とはいうけれど、特にスポーツにおいては遺伝や生まれながらの才能、体の大きさがかなりのウエイトを占めます。自分の場合同じ兄弟でも弟は生まれながらに体が大きく、スポーツの才能もあり羨ましいと思っていました。

子供から少年、大人と成長するにつれ現実的な選択肢を受け入れなければいけませんが、年をとるごとに自分の可能性が狭くなることを理解して正しい選択をしたいものです。

自分にとって有利で楽しい分野を見つけることが成功の秘訣

最高の戦略は努力が娯楽化することである。そこには苦しみやつらさという感覚はなく、純粋な楽しさがある。苦しくなければ成長できないなんてことはない。人生は楽しんでいい、そして楽しみながら成長することが成功への近道なのだ。

自分の夢や、やりたいことを愚直に追い続けるだけでなく、それが厳しいと判断したら、自分の特性を見極め勝てる分野、楽しめる分野で頑張る戦略が必要になります。

その判断が難しいところではありますが、走りながら軌道修正を繰り返すことで徐々に成功へ近づけると思います。

 

迷ったら環境を変えてみる

諦めることは周囲から気にかけてもらえない状態に平気になるということでもある。人にかまってもらえないのは寂しいけれども、どこか気持ちがいいところもある。そのくらいの覚悟を持つことだ。やめることは、一人に耐えることと関係している。でも、やめてまた新たに何かを始めれば、そこで新たな人とつながることもできる。

私も脱サラして昔の同僚や心から信頼できる友達以外とはあえて距離を取り、一人でいることがほとんどな生活を送っています。

今は自分がやりたいことや目指す方向が定まっていなく会わす顔がないというのもあるけど、いつか軸がしっかり決まり、努力することで新しい人との出会いもあるのではと今から期待しています。

 

頑張らないことには見えるもの見えないことがある

努力ではどうにもならないものがあるとわかるためには、一度徹底的に考え抜き、極限まで努力してみなければならない。そして、そこに至って初めて見えてくるものがある。

頑張って失敗する、挫折するという経験は重要で、その経験がいつかためになるはず。結局のところ、頑張らなければ始めの一歩を踏み出すことができず、何も生まれませんよね。

 

諦める力を持ち、自分に合うものを見つける

「夢はかなう」「可能性は無限だ」こういう考え方を完全に否定するつもりはないけれど、だめなものはだめ、というのも一つの優しさである。自分は、どこまでいっても自分にしかなれないのである。それに気づくと、やがて自分に合うものが見えてくる。

人は誰しも幸せになりたいと思うもので、その幸せの定義も人それぞれだけど、自分にあった人生を生きることが幸せになるための道筋になると思う。

学生の時は自分の力量を過大評価しすぎで社会にでるとその現実と厳しさにのまれてしまうものの、そういった中で自分が好きなこと、自分に合うことを見つけ、それを職業にするなどして自分の生きる軸にすることが大事かと思います。

 

「諦める力」感想・まとめ

為末さんの批判を恐れず、アスリートとして経験した中での考えや教訓をそのまま言葉にした良書でした。「夢を諦めない」とは綺麗で美しく、誰も否定しないフレーズですが、一方で向こう見ずな努力や頑張りが他の生きる道や可能性を狭めてしまうことも。

日本に生まれた我々は自由で生きるうえで無限の選択肢と可能性があるわけで、その中で時には諦めることも大切で、その中で背伸びせずいかに自分らしく生きていくかが求められています。

この本はアスリートや有名人が出版する体験談ではなく、哲学や的な要素も含まれた生きるためのヒントを与えてくれる、ちょっと人生に迷ったり、軸がぶれている人にオススメの本です。

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