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【書評】ガンジス河でバタフライ〜たかのてるこ〜

      2015/08/26

ガンジス河でバタフライ

今年の3月にインドを旅して4ヶ月経ち、徐々にインドの空気と匂いを忘れかけつつあったので、あの強烈な国と人々を思い出すために読んでみました。

たかのてるこさんという自称「地球の広報&旅人」が実際にインドを旅行した体験に基づく旅行記です。寝る前にちょっとだけ読もうと思ったらやめられず、眠気と格闘しながらも一気に読み終えました。


「ガンジス河でバタフライ」レビュー

たかのさんの旅の凄い所は関西人らしい明るさと旺盛な好奇心により旅先で出会う人に恵まれ、旅がどこか有名な観光地や遺産を巡るものではなく、現地の人達との交流が中心となっている所。

現に、この小説では◯◯遺跡や、◯◯寺院などの名所はほとんど出てこなく、現地の人の家に泊まったことや、宿泊先の受付の人に街を案内してもらったこと、地元の食事をごちそうになったことなど人との関わりの中で経験した事を軸に構成され、彼女の人間性が現地の人にも受け入れられていることがよくわかります。

私もインドに3週間行っていましたが、残念ながら現地の人の家に泊まったり、心から仲良くなることはありませんでした。写真を一緒に撮りましょうなどその場限りの交流はあったものの、声を掛けてくるのはお土産屋やリキシャの運転手などの商売をする人達ばかり。

日本の色黒でヒゲを生やしたおじさんと、日本の若い女性であればどちらが親切にされるかは言うまでもありませんが、ひょっとすると、インド=騙されると必要以上に心に壁を作って私の方から現地の人達の中へ入ろうとしていなかったのかもしれません。

乗る列車の座席が間違っていた事、食べ物のまずさに閉口したこと、自分がもらえるわけではないのになぜか写真を撮ってもらいたがる人が多い事など私と同じ経験をされていて、私のインドの記憶が鮮明に蘇ってきました。

印象に残っているのはバラナシでサドゥーと呼ばれるヒンドゥー教の修行者がたかのさんに言った言葉。

ゆっくりと、自分自身を見つめることです。今、あなたは、私と話をしています。でも実は、自分自身とも話しをしているのです。今だけではありません。どこにいようと、誰と話していようと、常にあなたは、あなた自身と話しをしているのです。

全くその通りでバラナシで出会った修行僧にこんなことを言われたたらすぅーと心の中に素直に落ちてきそうです。欲を排除し、長年信仰に身と心を捧げているからこそ出る言葉だと思います。

次はたかのさんがボンベイで出会った日本人に話した言葉。

インド人が魅力的に見えるのはさ、みんな今日を生きているからなんだよね。日本にいると、今を生きることを忘れそうになるじゃない。でも大事なのはいつも今なんだってつくづく思ったよ。未来のために今を生きるんじゃなくて、今日を毎日、楽しむことなんだなぁって。

私も同じ意見です。多くのインド人は日本よりも生活レベルが低く、貧しい人が多いけれども毎日を肩肘張らず、楽しく生きている人が多いように思えました。それは産まれながらに区別されるカースト制からくる諦めによるのかもしれませんが、彼らの生き方はあくせくすることなく、幸福度は日本人よりも彼らの方が高いのではとも思えるくらいでした。

この本はたかのさんが1992年にインドを旅した経験に基づくストーリーです。今より20年以上も前のことですが、文章や写真でみるインドは私がこの前行った時と変わりがないようでした。インドは経済発展が著しいとよく聞きますが、それはデリーなど一部の都会や経済特区のみに当てはまることで、庶民の人々の生活はさほど変わっていないようです。

旅に出ると異国でひとりぼっちになった気分になります。非日常の世界で24時間自由になり、自分自身に向き合い、過去を振り返り、未来を想像します。旅の魅力はそのような時間を過ごすことで心が洗われ、活力がみなぎること。

この本をよんでまた大きなバックを背負い、履きなれた靴を履いて旅に出たくなりました。

※私のインド旅行記はこちらをどうぞ!
インド旅行記コルカタ編〜最初に乗ったタクシーが事故って波乱の幕開け〜

「ガンジス河でバタフライ」目次

はじめに
ひとり、旅立つまで
私が旅人になったワケ
小心者の旅立ち
ボディーランゲージ・ハイ
マッチョマンとの暑い夜
呼ばれて飛び出てマレーシア
恐怖のナイトドライブ
仁義なき格安航空券
インドの洗礼
おっかない国、インドへ
ゾンビ、あらわる
夜行列車の奇妙な面々
ブッタガヤの不良インド人
恐るべし!すぐそこ
インドの輪廻と私の輪廻
荒野の危機一髪!!
バラナシでのマダムな日々
お坊様との禅問答
ナマの死体と怪しい奴ら
ガンジス河でバタフライ
私の帰る場所

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